21世紀間近,21年目のコムデックス。大きなうねりがありながらも,その中心に吹く,ワイヤードへの風はやまず,とまらず,世紀を超える。いざ,風のたもとへと,歩みいかん。
世界最大のIT関連展示会,コムデックス/秋が,ラスベガスで開幕した。今年はPDAや携帯電話,電子商取引ソフト,ネットワーキング機器などが主役として台頭。だがパソコンも忘れ去られたわけではなく,マイクロソフト社のビル・ゲイツ会長は,「制約のない革新の時代へ向かっている」と基調講演を行った。
では,今年のコムデックスの基調講演から,メモ書きψ(.. )。「究極のドット・ネット端末を紹介しよう。それが,タブレットPCだ」(ビル・ゲイツ,マイクロソフト社会長)。「パソコンにはもうMSオフィスとゲームしかない。そんなアプリなど書いていたら,死んだ会社と見なされてしまう。すべてのアプリはネットワーク上で稼働するのだ」(ラリー・エリソン,オラクル社CEO)。「私たちは,ネットワークによるデジタルルネッサンスの最中にいます。そしてそれは,数えきれないアイディアと発明による第2章へとさしかかっているのです」(カーリー・フィオリナ,ヒューレット・パッカード社CEO)。「パソコンは今でも主役だ。そして5年後にはサーバーの台数も5倍になる。すべてのパソコンはサーバーに通じるのだ」(マイケル・デル,デル社CEO)。(ZDNet News:COMDEX/Fall 2000特集)
様変わりしたと云っても,パソコンはもっとネットワークへの志向を顕著とし,PDAや携帯電話はネットワークへの砂塵を巻き上げることで,目を引いている。結局は,それを確認するためのコムデックスなのだ。数年前から吹き荒れているこの暴風は,吹き止む気配もない。進化を吹き飛ばし,リアルを吹き飛ばし,過去を吹き飛ばし,権威を吹き飛ばし,惰性を吹き飛ばし…。風に抗い進んでいく者たちは,多くのものが吹き飛ばされてきて,そして通り過ぎていくのを目にする。もし,風が吹き止んでしまったら,この地にはなにも残らないに違いない。だから,この風の街で生きていくしかなく,歩みをとどめてはいけない。それが,「生きる」ことと同義であると,感じながら。テクタイトでできた帽子のひさしを,目深に,落として,進む。
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